偶然が生んだ奇跡 ー 珪化木との出会い


ある日、古道具とインテリアを扱うお店で、この「珪化木」に出会いました。
その時は、これが一体何なのかも知らずに。
家に帰って調べてみると、その正体に心が震えました。

鮮やかな赤い色味、艶やかに光る表面。
その周りには、何億年も前に生きていた樹木の表層が、
そのままの姿で残っている。手に取るとひんやりと冷たい。
確かに鉱物なのに、どこか木の温もりを感じさせる。
不思議な化石でした。
珪化木は、ただ朽ちて土に還ったわけではありません。
地中深くで珪酸と出会い、長い長い時間をかけて、鉱物として甦ったのです。
過酷な自然環境の中で、移り変わり、変化し、こんなにも美しいものへと生まれ変わる。

その事実に深く感動し、迷わずこの珪化木を手に入れました。
私たちが生きている「今」に至るまで、地球はどれほどの変化を遂げてきたのでしょう。
この小さな化石は、そんな壮大な時の流れを、静かに物語っています。
身につけることで、自然の息吹を感じてほしい。
何億年という時間が偶然に織りなした美しさを、日常の中で感じてほしい。
そう考えて、珪化木のジュエリーを制作することにしました。
自然が生み出した形は、それ自体が完成されている。
だから、できるだけ手を加えたくありませんでした。
「無作為」こそが、最良のデザイン。
人の手による作為を感じさせないこと。
それこそが、偶然の美しさを最も引き立てる方法だと考えました。
人工的な加工は最小限に。自然が持つ力強さと繊細さを、
そっと身につけられるように。そんなものづくりを心がけています。

MUSAKUIのジュエリーに生まれ変わった一つ一つの化石は、
人の意図を超えた偶然が織りなす、唯一無二の形。
自然が描いた、一期一会のデザインです。


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上記画像の珪化木は、マダガスカルのアコンクロンメナ(Ankondromena)で採掘される
「Petrified Wood Araucaria」ナンヨウスギ属(Araucaria)の珪化木(化石化した木)。
三畳紀(約2億5000万年前~1億9900万年前)から白亜紀(約1億4500万年前~6600万年前)の地層から発見される化石。